受付は来訪者と従業員が直接顔を合わせる場所であり、飛沫対策の要となるエリアです。パーテーションやビニールカーテンなど選択肢は多岐にわたりますが、素材や設置方法によって効果や使い勝手は大きく変わります。本記事では受付の飛沫対策について、素材選び・設置方法・費用相場まで、オフィス内装の実務担当者向けに整理してご紹介します。
受付の飛沫対策とは何か

受付の飛沫対策とは、来訪者と受付スタッフの間に物理的な仕切りを設け、会話や呼気による飛沫の飛散を抑える取り組みを指します。感染症対策の一環として広まりましたが、現在ではオフィスの標準設備として定着しつつあります。ここでは設置物の種類や考え方の基本を整理します。
飛沫対策で用いられる主な設置物
受付の飛沫対策には、アクリルやポリカーボネートを用いたパーテーション、PVC製のビニールカーテン、据え置き型のスタンドパネルなど複数の選択肢があります。それぞれ設置場所やカウンターの形状によって適性が異なります。
- パーテーション:硬質素材で耐久性が高く、長期設置向き
- ビニールカーテン:柔軟性があり狭小スペースにも対応
- スタンド型:工事不要で移設や撤去がしやすい
用途と設置期間を踏まえて選定することが基本になります。
パーテーションとビニールカーテンの違い
パーテーションは硬質のアクリルやポリカーボネートを使用し、透明度と耐久性に優れる一方、初期費用はやや高めです。ビニールカーテンはPVC素材で軽量かつ安価に導入できますが、傷や曇りが生じやすい傾向があります。
恒久的な設置を想定するならパーテーション、短期利用やコスト重視の場合はビニールカーテンが適しています。設置期間や更新サイクルを踏まえて選ぶとよいでしょう。
受付における飛沫対策の基本的な考え方
受付の飛沫対策では、遮断性と業務のしやすさを両立させることが基本方針となります。飛沫を完全に遮ろうとするあまり、会話が聞き取りにくくなったり書類の受け渡しが困難になったりすると、受付本来の機能が損なわれてしまいます。
視認性・通気性・開口部の設計をバランスよく組み合わせ、来訪者対応の質を落とさない工夫が求められます。
受付に飛沫対策が必要とされる理由

受付は不特定多数の来訪者と接するため、感染症対策の起点となりやすい場所です。安全面だけでなく企業イメージや従業員の心理面にも影響するため、複数の観点から必要性を整理します。
来訪者と受付スタッフの距離が近いリスク
受付業務では対面での会話や書類の受け渡しが発生するため、来訪者とスタッフの距離が近くなりがちです。飛沫感染は近距離での会話を通じて広がりやすいとされており、受付は感染リスクが比較的高い場所といえます。
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策でも、対面での会話が続く場所での対策強化が推奨されています。物理的な仕切りは、この距離の近さから生じるリスクを軽減する手段です。
感染症対策としての企業の社会的責任
企業は従業員だけでなく、来訪する取引先や顧客の安全にも配慮する責任があります。受付に飛沫対策を施すことは、事業所としての衛生管理体制を対外的に示す行為でもあります。
感染症の流行状況にかかわらず、一定の対策を継続することは企業の危機管理姿勢の表れとして評価される傾向にあります。
従業員の安心感と業務効率への影響
受付スタッフにとって、目に見える形での対策があることは心理的な安心材料になります。不安を抱えたまま接客を続けると集中力が低下し、対応品質にも影響しかねません。
適切な飛沫対策は、スタッフが安心して業務に取り組める環境づくりにつながり、結果として来訪者対応の質の維持にも寄与します。
来訪者に与える企業イメージへの影響
受付は来訪者が最初に目にする場所であり、企業の姿勢が表れやすいエリアです。清潔感のある飛沫対策が施されていると、衛生管理に対する意識の高さが伝わりやすくなります。
逆に対策が見られない場合、来訪者によっては不安を感じることもあるため、受付の飛沫対策は企業イメージを左右する要素の一つといえるでしょう。
受付の飛沫対策で選ばれる素材の種類

受付の飛沫対策に使われる素材は、透明度・耐久性・コストのバランスで選ばれることが多く、代表的なものにアクリル・PVC・ポリカーボネートがあります。それぞれの特性を理解し、設置環境に合った素材選びが重要です。
アクリル製パーテーションの特徴
アクリルは透明度が高く、ガラスのような美しい見た目を持つ素材です。加工がしやすいため、開口部の形状を細かく調整したい場合にも対応しやすい特徴があります。
一方でガラスより柔らかいため、鋭利なもので擦ると傷がつきやすい点には注意が必要です。受付カウンターのように来訪者の目に触れる場所では、見た目の良さから採用されるケースが多く見られます。
PVC(塩化ビニール)製シートの特徴
PVC製シートは軽量で柔軟性があり、カーテンレールなどに吊るす形式での設置に向いています。価格が比較的安く、短期間の設置や仮設的な用途に適しています。
ただし経年で黄ばみや曇りが生じやすく、頻繁な拭き取りや定期的な交換が必要になる場合があります。コストを抑えたい場合の選択肢として検討されることが多い素材です。
ポリカーボネート製パネルの特徴
ポリカーボネートはアクリルよりも耐衝撃性に優れ、割れにくい素材として知られています。人の出入りが多く接触の可能性がある受付では、破損リスクを抑えられる点がメリットです。
透明度はアクリルにやや劣るものの、実用面での強度を重視する現場で選ばれる傾向があります。長期間の使用を想定する場合に適した素材です。
素材ごとの耐久性とコストの比較
各素材は耐久性とコストの面で明確な違いがあり、用途に応じた使い分けが求められます。以下に代表的な特徴を整理します。
| 素材 | 耐久性 | 透明度 | コスト目安 |
|---|---|---|---|
| アクリル | 中 | 高 | 中 |
| PVCシート | 低 | 中 | 低 |
| ポリカーボネート | 高 | 中 | やや高 |
設置期間が長くなるほど耐久性の高い素材のほうが結果的にコストを抑えられるケースもあるため、初期費用だけでなく維持費用も含めて比較検討することが望まれます。
受付の飛沫対策パーテーションの設置方法

パーテーションの設置方法はカウンターの構造や運用スタイルによって選び分けます。代表的な方式として正面付・天井付・カーテンレール取り付け・スタンド型があり、それぞれ施工の手間や自由度が異なります。
正面付タイプの設置方法
正面付タイプは、カウンターの天板や側面にパネルを直接固定する方式です。専用の金具やブラケットを用いて設置するため、安定性が高く、日常的な業務でも位置がずれにくい特徴があります。
一度取り付けると移動が前提ではなくなるため、恒久的に飛沫対策を続ける受付に向いています。設置前にはカウンターの天板の厚みや材質の確認が必要です。
天井付タイプの設置方法
天井付タイプは、天井から吊り下げる形でパネルやシートを固定する方式です。カウンター天板に穴を開けずに設置できるため、既存の家具を傷つけたくない場合に選ばれます。
天井の耐荷重や下地の位置を事前に確認する必要があり、施工には天井材の種類に応じた専用金具を用います。オープンカウンターなど天板に固定しづらい形状で活用されることが多い方式です。
カーテンレール取り付けタイプの設置方法
カーテンレール取り付けタイプは、ビニールカーテンなど柔軟性のある素材をレールに吊るして使用する方式です。開閉が容易で、来訪者が少ない時間帯には開けておくといった柔軟な運用ができます。
工事の手間が比較的少なく、短期間での導入や撤去がしやすい点も特徴です。business hoursに応じて開閉を調整したい受付に適しています。
スタンド型・据え置き型の設置方法
スタンド型・据え置き型は、床や天板に置くだけで設置が完了する方式で、工事を伴わない点が最大の利点です。パネルとスタンドが一体化しており、必要に応じて別の場所へ移動させることもできます。
固定式に比べると安定性はやや劣るため、人の出入りが多い場所では転倒防止の重りや固定具を併用すると安心です。仮設イベントや一時的な受付にも活用されています。
受付カウンターの形状に合わせた飛沫対策の選び方

受付カウンターにはハイカウンター・ローカウンター・オープンカウンターなど複数の形状があり、それぞれ適した飛沫対策の方式が異なります。カウンターの高さや構造を踏まえた選定が、対策効果を左右します。
ハイカウンターに適した対策
ハイカウンターは天板の高さがあるため、来訪者とスタッフの目線が近くなりやすい形状です。天板に正面付タイプのパネルを設置することで、比較的少ない面積で顔の高さを効果的にカバーできます。
開口部を目線の高さに合わせて設けると、会話のしやすさを維持しながら飛沫を遮ることができます。
ローカウンターに適した対策
ローカウンターは天板が低いため、パネルの高さを十分に確保しないと顔の高さまで届かない場合があります。天井付タイプや高さのあるパネルを組み合わせることで、遮断範囲を広げる工夫が有効です。
低い位置からの飛沫の回り込みにも配慮し、パネルの幅にも余裕を持たせるとよいでしょう。
オープンカウンターに適した対策
オープンカウンターは仕切りが少なく開放的な設計のため、天板への固定が難しい場合があります。こうしたケースでは天井付タイプやスタンド型を用いて、既存の意匠を大きく変えずに対策を施すことが可能です。
開放感を損なわないよう、透明度の高いアクリルなどを選ぶと空間の印象を保ちやすくなります。
複数窓口がある受付での対策
複数窓口を持つ受付では、窓口ごとにパネルを設置し、隣接する窓口との間にも仕切りを設けることが望まれます。来訪者同士の距離も考慮した設計が必要になります。
窓口数が多い場合は既製品パネルを組み合わせて設置するとコストを抑えやすく、統一感のある見た目にも整えやすくなります。
受付の飛沫対策における開口部・受け渡し窓の工夫

飛沫対策のパネルには、書類やカードのやり取りをするための開口部が欠かせません。開口部の形状や高さの設計次第で、遮断効果と業務のしやすさのバランスが変わります。
書類やカードのやり取り用の開口部設計
開口部は、名刺や書類、入館証などの受け渡しがスムーズに行える幅と高さを確保する必要があります。狭すぎると受け渡しに手間取り、広すぎると飛沫が漏れやすくなるため、実際の運用を想定した寸法設定が重要です。
一般的には幅30cm前後、高さ10~15cm程度の開口部が使いやすいとされています。
会話のしやすさを考慮した高さ調整
パネルの高さが顔の高さと合っていないと、会話がしづらくパネル越しの声が聞き取りにくくなることがあります。開口部を目線からやや下の位置に設けると、視線を合わせつつ声も通しやすくなります。
来訪者・スタッフ双方の平均的な立ち位置や座り位置を踏まえて高さを調整することが望まれます。
開口部の飛沫漏れ対策
開口部があること自体が飛沫対策の弱点になり得るため、形状を工夫して漏れを最小限に抑える必要があります。段差をつけたクランク形状や、下向きに傾斜をつけた設計は、飛沫が直接抜けにくい構造として採用されることがあります。
開口部の縁を波型にするなど、遮断性と使い勝手を両立させる工夫も広がっています。
受付の飛沫対策を導入する際の施工の流れ

受付の飛沫対策を導入する際は、現場調査から設置後のメンテナンスまで一連の流れで進みます。各工程を把握しておくと、施工業者とのやり取りもスムーズになります。
現場調査・サイズ計測
施工の第一段階は現場調査です。カウンターの寸法、天板の素材、周辺の家具配置などを実測し、設置方式の選定材料とします。
天井付を検討する場合は天井裏の構造や梁の位置も確認が必要になるため、事前調査の精度が後工程の仕上がりを左右します。
素材・デザインの選定
現場調査の結果をもとに、アクリルやポリカーボネートなどの素材、パネルの形状、開口部の位置などを決定していきます。オフィスの内装デザインとの調和も踏まえて選ぶことが多いです。
既製品を活用するかオーダーメイドにするかも、この段階で方向性を固めます。
施工・取り付け作業
素材とデザインが確定したら、実際の取り付け作業に入ります。正面付や天井付の場合は専用の金具を使った固定作業が中心となり、業務時間外に施工するケースも少なくありません。
取り付け後はぐらつきや隙間がないかを確認し、必要に応じて微調整を行います。
設置後のメンテナンス対応
設置して終わりではなく、日常的な清掃や定期的な点検も欠かせません。素材によっては専用のクリーナーを使う必要があり、誤った洗剤の使用は傷や曇りの原因になります。
破損や劣化が見られた場合は早めに交換や補修を行い、対策の実効性を維持することが求められます。
受付の飛沫対策にかかる費用の目安

受付の飛沫対策にかかる費用は、素材や設置方式、既製品かオーダーメイドかによって幅があります。予算感を把握するため、代表的な価格帯を整理します。
既製品パーテーションの価格帯
既製品のパーテーションは、サイズや素材があらかじめ規格化されているため比較的安価に導入できます。小型のスタンド型であれば数千円から、標準的なアクリルパネルでも1~3万円程度が目安となることが多いです。
在庫があればすぐに設置できる点も既製品のメリットです。
オーダーメイド施工の価格帯
カウンターの形状や開口部の位置を細かく指定するオーダーメイド施工では、既製品より費用が高くなる傾向があります。サイズや素材、施工の難易度によって数万円から十数万円程度まで幅が出ることがあります。
複数窓口をまとめて施工する場合は、まとまった見積もりで単価が下がることもあります。
素材別のコスト差
同じサイズであっても、素材によって費用は変わってきます。PVCシートが最も安価で、アクリルはその中間、ポリカーボネートは耐久性の高さから単価がやや高くなる傾向にあります。
初期費用だけでなく、交換頻度や清掃の手間も含めたトータルコストで比較することが大切です。
導入コストを抑える工夫
コストを抑える方法として、既製品を活用できる箇所は既製品で対応し、開口部の形状など重要な部分のみオーダーメイドにするといった組み合わせが挙げられます。
- 複数窓口を同時発注してまとめ割引を活用する
- 素材をPVCとアクリルで使い分ける
- 標準サイズに近い設計にして加工費を抑える
こうした工夫により、対策の効果を保ちながら予算内での導入がしやすくなります。
受付の飛沫対策で注意すべきポイント

受付の飛沫対策では、遮断性だけでなく視認性や衛生面、デザイン性など複数の観点からの配慮が求められます。導入後に後悔しないよう、事前に確認しておきたいポイントを整理します。
視認性・透明度の確保
パネルの透明度が低いと、来訪者の表情が見えづらくなり、コミュニケーションに支障が出ることがあります。素材選びの段階で、経年による曇りや黄ばみが出にくいものを選ぶことも重要です。
定期的な清掃を前提とした素材選定も、視認性維持には欠かせません。
衛生面を考慮した清掃のしやすさ
飛沫対策のパネルは不特定多数が接する可能性がある場所に設置されるため、日常的な清掃のしやすさも選定基準に含めるとよいでしょう。凹凸が少なくフラットな形状は拭き取りがしやすく、衛生管理の手間を減らせます。
開口部周辺は特に手が触れやすいため、重点的な清掃箇所として意識しておくことが望まれます。
デザイン性とオフィスの雰囲気との調和
飛沫対策の設置物は、オフィス全体の内装デザインと調和させることも意識したいポイントです。無機質な仕切りが目立ちすぎると、せっかくのエントランスの印象を損ねてしまう場合があります。
フレームの色味や素材の質感をブランドイメージに合わせることで、対策と美観を両立させやすくなります。
耐久性・耐衝撃性の確認
受付は人の出入りが多く、書類や荷物がぶつかる可能性もある場所です。設置するパネルの耐衝撃性を事前に確認しておくと、破損によるトラブルを防ぎやすくなります。
特に子供連れの来訪者が多い施設や、荷物の受け渡しが頻繁な窓口では、ポリカーボネートなど耐衝撃性に優れた素材の検討が有効です。
まとめ

受付の飛沫対策は、素材選びから設置方式、開口部の設計、費用まで多くの検討事項があります。アクリル・PVC・ポリカーボネートそれぞれの特性を踏まえ、カウンターの形状や運用スタイルに合った方式を選ぶことが重要です。
視認性や清掃のしやすさ、デザインとの調和にも配慮しながら、長期的な運用を見据えた対策を選んでいただければと思います。施工業者との打ち合わせでは、本記事で触れた各ポイントを確認材料にしてみてください。
受付の飛沫対策についてよくある質問

-
受付の飛沫対策にはどのような素材が使われますか?
- アクリル、PVC(塩化ビニール)、ポリカーボネートが主に使われます。透明度を重視する場合はアクリル、コストを抑えたい場合はPVC、耐衝撃性を重視する場合はポリカーボネートが選ばれる傾向にあります。
-
パーテーションとビニールカーテンはどちらが良いですか?
- 恒久的な設置であればパーテーション、短期間や仮設的な用途であればビニールカーテンが適しています。設置期間や予算に応じて選び分けるとよいでしょう。
-
開口部はどのくらいの大きさが適切ですか?
- 一般的には幅30cm前後、高さ10~15cm程度が書類やカードの受け渡しに使いやすいとされています。飛沫漏れを防ぐため、段差をつけた形状にする工夫も有効です。
-
受付の飛沫対策にかかる費用の目安はどのくらいですか?
- 既製品であれば数千円から数万円程度、オーダーメイド施工では数万円から十数万円程度が目安です。素材や窓口数によって変動します。
-
設置後のメンテナンスで気をつけることはありますか?
- 素材に適したクリーナーを使用し、傷や曇りの原因になる硬い布や強い洗剤は避けることが大切です。破損や劣化が見られた場合は早めの交換や補修を検討してください。



